法人カスタマイズ研修

【導入事例】OJTで成果を出す問題解決プログラム

概要

名  称: 「宮崎観光のV字回復 ~恋旅(ラブ・ツーリズム)ブームの創出を目指して」
--- 宮崎県&市町村の若手職員 東国原知事に4つの「恋旅」を提案 ---
参 加 者: 宮崎県および市町村職員14名
開催期間: 2008年8月~2008年10月
【背景】
 2008年4月、宮崎県商工観光労働部に「みやざきアピール課」という新しい課が設置された。宮崎県を県外に広くアピールするのが目的だ。
「宮崎といえば新婚旅行」、そう言われた時代がある。当時、県は多くの新婚カップルでにぎわった。しかし、今年わずかに増加に転じたものの、宮崎県への観光客は過去10年連続で減り続けていた。
温暖な気候、美しい大自然、安全で良質な産直農産物、加えて県内にはさまざまな「日本神話伝承の地」も散在している。さらに県には、多くの観光客を受け入れてきた「経験」という観光資源もある。
宮崎県がもつこうした資源とこれまでのノウハウを使い、もういちど宮崎に観光客を呼びもどすことができないか。この課題は県全体が一丸となって取り組むべきものとして、東国原知事のおすみつきをえている。
そこで、みやざきアピール課では、県庁職員のみならず各市町村横断で、今までとは異なる手法をもってこの課題に取り組むため、「OJTで成果を出す問題解決プログラム」の導入を決定した。県庁と市町村の職員から参加者を募ったところ、30代~40代の若手職員14名が名乗りでた。
こうして、宮崎を「どげんかせんといかん!」という熱き思いを持った職員による、2ヶ月間の新規事業提案プロジェクトが開始した。
【課題】
課題のテーマは「宮崎県の恋旅(ラブ・ツーリズム)ブームの創出」。「恋旅」は、東国原知事も県の最重要課題のひとつとして注目している課題だ。
恋旅といっても、必ずしも若い男女である必要はない。子どもが巣立った熟年夫婦、絆を確かめたい親子、恋に恋したシングル男女など、今の時代に響く恋旅にはいろいろな形が在りうる。どのターゲット層に向けてどのようなストーリーを展開するのか、そのために県内のどのような資源を盛り込むと効果的なのか、既成概念にとらわれない若手職員の視点が、宮崎が抱えている課題を解決するブレークスルーとなった。
【提案】
10月9日、チームは東国原知事に、プロジェクトでまとめ上げた企画提案のプレゼンテーションを行った。県と市町村の職員が職務横断チームを結成してトップへ直接提案するのは、全国でも画期的な試みで、マスコミにも取り上げられた。
「面白い提案がたくさんあり、職員のみなさんの取り組みに驚きました。最近は、『ダサい』『古い』が逆に新しい。宮崎県でも、ダサさや古さをウリにして、今後も更に観光客を呼び込む企画を検討して実施して欲しい。」と東国原知事。
参加者からは、「県・市町村の職員がこのような形で共同で取り組めるプロジェクトは、これまで経験したことがなかったが、いろいろな視点を取り込みながら企画をすることでよい提案ができた。」「業務と同時進行するのはたいへんでしたが、とても有意義でした。また参加したいです。」「提案内容を、早く実施したいです!」といった、充実感溢れるコメントが聞かれた。
【成果】
チームが企画した「宮崎県・恋旅」プロジェクトはその後、具体的な宮崎観光企画を行い、旅行会社や航空会社とも共同で観光プランを実現した。
テントウ虫をモチーフにした「宮崎恋旅」ウェブサイトも公開し、評判をよんでいる。
http://www.kanko-miyazaki.jp/koitabi/main.html

実際の活動内容

■課題分析セッション
(1日)

問題を明確にして分解する

どのような人に宮崎に来て欲しいか、ブレインストーミング
  • まずは「ありたい姿」を共有してチームの方向性を固める
(目標の共有化)
プロジェクトの初日は1日集合ミーティングだ。初対面のメンバーも多く、チームとして同じ方向を向いているとは言えない。そこで、初日は徹底的にチームのベクトル合わせに費やした。そもそも「恋旅」といってもいろいろな捉え方があるので、具体的にはどのような人に宮崎に来て欲しいのかを掘り下げて話し合った。こうして、「ありたい姿」の共通認識を持ち、今後2ヶ月間のチームの方向性を固めることにした。

ターゲットの優先順位をつける
  • ターゲットを絞り込む(課題の絞込み)
70以上のアイディアからターゲットを絞るために、類似するものをグループ化していった。宮崎チームが注目した切り口は、各ターゲットが持つ価値観だ。たとえば、同じ60代の夫婦でも、40年間連れ添った夫婦と、第2の人生を誓い合った熟年新婚夫婦では、旅に求める価値観が異なるだろう。この2つのターゲットには、異なる恋旅プランが必要なのだ。
このような視点でグループ化し、メンバーが取り組みたいものに投票することでターゲットの優先順位付けを行った。その結果、以下の4つの層をターゲットにすることが決定した。
1.ゆとりカップル層
2.もう一度昔に戻りたい層
3.若い層
4.海外層
自分で選んだターゲットということもあり、メンバーのモチベーションも上がる。4チームに別れ、それぞれの価値観を想定してポストイットに書き出し、世代と価値観の2軸でマッピングを行った。
ここで初日の集合ミーティングは終了。この後5週間は、メンバーが各職場に戻り、現状調査や成功事例の収集を行う。調査の結果を、インターネット上の掲示板や付箋紙ツールで共有し、対策案の洗い出しを行い、提案書をまとめることにした。
■第1週
現状を調べる
原因の仮説をたてる
  • ターゲットの価値観の仮説をたてて、検証する(原因の仮説検証)
4チームは、それぞれのターゲットに合った「恋旅」企画を立案する必要がある。とは言え、思いつきだけで方策を練るわけにはいかない。まずは、ターゲットの価値観を想定し(=仮説をたてる)、その仮説が正しいかどうか検証してみる。
■第2週
真の原因を特定する
宮崎チームの場合、単に統計データに頼るのではなく、メンバー自らがアンケート調査を行うなど、生のデータを収集した。たとえば、若い層をターゲットにしたチームでは、実際に宮崎空港に足を運び、20代らしき旅行者に声をかけ、宮崎に来た理由や旅のプランなどの聞き込みを行った。調査の結果は、随時インターネットの掲示板で共有した。これまで統計データなどの一般的な情報に頼っていたメンバーも、対象者の声を直接聞くことによって、対象者が求める価値観を体感し、企画案をよりリアルなものにしていった。
■第3週
成功事例を探す
  • ありたい姿に近づく「成功の法則」を発見する(ベンチマーキング)
ありたい姿に近づくためには、その「成功の法則」を見つける必要がある。成功の法則とは、そのターゲットを引き付けるパターンのことだ。富裕層の熟年夫婦をターゲットにした場合、そのような夫婦を対象に既に成功している企画があるか、ある場合は、何が成功の鍵となっているのか、そのパターンを発見するのだ。
たとえば、1981年にJRが発売開始したフルムーン旅行。「グリーン車で旅をする」という機能面ではなく、「ゆとりのある熟年夫婦が、ゆったりと贅沢に記念日を過ごす旅」というイメージを上手く売っている。機能ではなく、ストーリーが対象者に響くのだ。宮崎チームも、このような視点で成功事例を探し出していった。
■第4週
アイディアを出し、選ぶ

ウェブ上のアイディア・マップ
  • 効果が高く、実現しやすい解決案に絞る(アイディアの収斂と統合)
成功の法則が見えてきたら、法則に合うような解決案を出していく。まずは思いつくことを、インターネット上のアイディア・マップにどんどん書き足していく。「もう一度昔に戻りたい層チーム」の場合、「定住まですれば土地プレゼント」「宮崎だけのご当地ナビ」「青バス寝台特急の復活」などのアイディアが続々と出た。
30以上もの解決アイディアを、「効果」と「実現性」の2つの基準でマッピングした。効果が高く、実現しやすいものから優先順位を高くすることで、現実的な解決案の提案を目指した。
■第5週
提案書を作成する

■プレゼンテーション
(1日)
提案する
  • 東国原知事への提案 (プレゼンテーション)
9月中旬、4チームで提案内容が固まってきたところで、東国原知事へのプレゼンテーションの準備を始めた。各チーム5分間の発表の中に、課題の背景、他組織成功事例、提案内容、期待できる効果、などが簡潔に盛り込まれている。
10月9日、東国原宮知事に提案発表を行った。4チームがそれぞれの「恋旅」企画を5分間ずつ発表し、知事をはじめ、同席した市町村関係者などからも質問が激励のコメントをもらった。

【新聞掲載記事】
2008年8月4日に開催した課題分析セッションの模様


2008年10月9日に開催した提案発表会の模様

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